代襲相続とは、本来であれば相続人になるはずだった人が、被相続人よりも先に亡くなった場合に、その人の子ども(被相続人から見ると孫)が相続人の地位を引き継ぐことをいいます。つまり、相続人の地位を子どもに代わり孫が受け継ぐという制度です。
具体例を使って説明しましょう。
山田太郎さんには、長男の一郎、次男の二郎、長女の花子がいます。太郎さんが亡くなる前に、長男の一郎が事故で亡くなってしまいました。一郎には子どもが二人おり、太郎さんから見ると孫にあたる健太と美紀がいます。
太郎さんが亡くなった際、通常であれば一郎、二郎、花子の三人が相続人となるはずでした。しかし、一郎が先に亡くなっているため、一郎の相続分を健太と美紀が代わりに受け継ぐことになります。これが代襲相続です。
代襲相続が行われた場合、一郎の取り分は健太と美紀に等分されます。法定相続による場合、最終的に、二郎と花子がそれぞれ3分の1ずつ、健太と美紀がそれぞれ6分の1ずつを相続することになります。
代襲相続は、相続人間の 衡平を保つための制度と言えます。もし代襲相続がなければ、一郎の子ども(健太と美紀)は相続から除外されてしまい、二郎と花子だけが遺産を受け取ることになってしまいます。代襲相続により、一郎が受け取るはずだった相続分を、その子どもが代わりに引き継ぐことができるのです。
さらに、民法は再代襲を認めています。すなわち、孫も先に亡くなっている場合、ひ孫が孫に代わり代襲相続します。
代襲相続は、相続人が兄弟姉妹の場合にも認められます。兄弟姉妹のうち、先に亡くなった者がいる場合には、その子(甥や姪)が代襲して相続します。もっとも、兄弟姉妹の場合、再代襲は認められません。つまり、甥や姪の子は代襲相続人にはなれないのです。
また、相続人が相続を放棄した場合も、その子どもが代襲することはできません。
相続手続にあたって、既に亡くなった相続人がいる場合には、相続人が亡くなったのが先なのか(=代襲相続が発生)、後なのか(=いわゆる「数次相続」の場合)なのかによって、相続人の範囲が異なることがあるため、注意が必要です。判断に困る場合は、専門家に相談しましょう。