1.検認手続の概要
遺言者が亡くなったあと、相続人は遺言書を勝手に開封してはいけません。まず、家庭裁判所に遺言書を提出して検認の手続を受ける必要があります。
「検認」とは、簡単に言えば、家庭裁判所が相続人の立会いの下で遺言書の内容を確認する手続です。内容を確認すると言っても、遺言が偽造・変造されるのを防止するため、遺言書の記載をそのまま確認するだけで、遺言が有効か無効かにまで立ち入って判断することはありません。
検認を経ないで遺言書を開封した場合でも、遺言が無効になることはありませんが、開封した者が5万円以下の過料に処せられる可能性があります。
2.検認手続の流れ
(1)検認の申し立て
・検認の申し立てができるのは、「遺言の保管者」または「遺言書を発見した相続人」です。
・検認の申立先は、「遺言者の最後の住所地」の家庭裁判所です。
・申立手数料800円と、相続人の人数分の連絡用郵便切手が必要です。
・検認の申立てがあると、家庭裁判所は相続人に対し、検認期日(検認を行う日)の通知をします(申立人以外の相続人が検認期日に出席するかどうかは、各人の判断に任されており、全員がそろわなくても検認手続は行われます)。
(2)検認期日
・家庭裁判所との間で検認期日を調整します。通常は、申立日から数週間から1か月程度で検認が実施されます。
・申立人は、次のものを持参します。
ア.遺言書
イ.申立書(裁判所の公式サイトからダウンロード可能)
ウ.被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの全ての戸籍謄本
エ.相続人全員の戸籍謄本
オ.既に亡くなっている相続人がいる場合は、その方の出生から死亡までの全ての戸籍
謄本
カ.申立人の印鑑
・申立人が遺言書を提出し、出席した相続人等の立会いのもと、裁判官が(封がされた遺言書については開封のうえ)遺言書を検認します。
(3)検認済証明書の申請
・検認の終了後、検認済証明書の申請(遺言書1通につき150円分の収入印紙と申立人の印鑑が必要となります。)をします。
・検認済証明書は、以下の手続の際に必要となります。
① 不動産の名義変更手続き
② 預貯金の解約手続き
③ 株式などの名義変更手続き
④ 税務署 相続税申告
⑤ 相続放棄・限定承認
ご自分で検認手続ができない、などのご事情がある方は司法書士などの専門家に相談しましょう。